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2009、02、02
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透は、最近になって一層綺麗になったと思う。
明るくて、少し負けず嫌いで、そして優しい俺の幼馴染み。

そんな彼女を、俺はずっとただの幼馴染みとしてしか見ていなかった。
そう、出会ってから15年以上。一度足りともそれ以上、それ以下の感情なんて持ち合わせたことなんてなかった。

だから、透と蓮二が付き合うことになったと知ったとき、こんなに胸が張り裂けるような思いになるのは筋違いだ。
俺は間違っている。
俺は… 俺は…。





理不尽な思い 不器用な恋






その日は、夏祭りだった。
必ず透と来ていた夏祭り。
出会ってから、そうずっと。
部活で行けない時もあった。部内のみんなで行くこともあった。
でも行く時は、決まって透が隣りにいた。

一人で来た縁日。
薄暗い空間の中、出店の光がチカチカと幻想的に光る。
今の俺には眩しいくらいで、何故俺はここに一人なんだろうと、本当にそう思った。

この場所に来たのは、べっ甲飴が久しぶりに食べたい。などと言う母親の頼みで、本来ならこんな場所は一人で行くような場所ではない。


目的なく歩いた今までとは違い、目的は飴のみ。という味気無い夏祭り。
縁日にわくわくする。なんていう年は、とうの昔に過ぎてしまった。

俺は屋台の店主から飴を受け取って、早々に元来た道を引き返す。
左手にはべっ甲飴が2本。

母の分と…透の分だ。
何故だろう。ここには蓮二と一緒に来ているはずなのだから、べっ甲飴くらい恋人である蓮二が買ってあげているはずである。


『弦一郎、ありがとう』


握り締めているべっ甲飴が、何だか酷く重く感じた。
飴を買うのは、ずっと俺の役目で。
透の好きな飴の形も、好きな色も、全部全部知っている。
思わず透が好きそうな飴を買っている自分に嫌気がさす。

(なんて…俺は女々しいのだ…)



家までの帰り道、人ごみの中につい透の姿を探してしまう。
でもきっと、見つけてしまえば、その隣りには俺ではなく蓮二が笑っている。

だから見つけたくなかった。
でも何故こういうときにばかり見つけてしまうのだろう。

浴衣姿の透の隣り、手を引く蓮二の姿までもハッキリと見つけてしまった。


一寸遠い距離。
あちらはまだ俺には気付いていない。


透と蓮二の手はしっかりと繋がれ、まるで2匹の金魚が寄り添い合うよう。
透の白い浴衣が、夕闇の中でぼんやり光り、さながら俺に見せつけるように他とは際立って見えた。

そして俺は、すっかり立ち尽くしてしまった。
透の手に、まさしく俺の手にある飴と同じものが握られているのを見つけてしまった。


「………」


ありとあらゆる混沌とした感情が俺の中で渦を撒いていた。
しかし事実を受け入れている自分が、確かに存在していた。

いや、感情はむしろ殆ど「無」に近かった。
何も考えられなかった。

ただ、会いたくない。と思った。
俺は何もしていないのに、さながら脱獄犯のように、見つかったら終りのように思えていた。

逃げろ。と、的確ではないが的を得ている警報が頭の中でガンガン鳴った。


俺はそっと踵を返して、遠回りする。
別に会ったところで、旧知の中だし、あの2人の関係は周知の事実。
やましいことは何もないのに。


今までの縁日の思い出は、全て今日の出来事で上書きされてしまった。

祭り屋台に来る度に、きっと今日のことを思い出すんだろう。
このぽっかりと空いた気持ちに、隙間風が駆け抜ける。

全ての色が褪せてゆくようだった。
こんな思い、俺は知らない…。



ただ右手の飴が重かった。



【終】



(その思いの名は、きっと絶望)

===================

以下いろいろ思ったこと長々と。


弦一郎は、最初本当に気づいてないなら、透と柳が付き合うとき「おめでとう」って言うかな?
それとも何故か知らないけど、「何で?俺がいるのに」みたいな感じになるかな?
透に裏切られたみたいな。そんなエゴな感情。

蓮二と付き合うまで、全く思いに気づかない方がいいかなあ・・・
でも、弦一郎も一応成長してるわけだし、多少いろいろな場面で「ドキッ」とかして、透がちゃんと「一人の女の子」っていうのをどこかで意識し始めたらいいなあ。


ところで、蓮二は一目惚れとかするタイプじゃあなさそうだよね。
人目で「あ、好みだな」って思うくらいだよね。
多分外見だけで完全に人を好きになることは無いと思うんだよね。
(弦一郎も柳生も同じ。あー、あと手塚とか?人目で恋に落ちるって実際あまりなさそうだよね・・・)
(※しかし、うちの父は母を始めて見たときに体中に電撃をくらったような衝撃を受けたらしい笑 ちなみにそのとき高校生とか言うから更に驚きなんですけど)


最初、透見たときに「あ、好感持てるな」から、徐々に内面知っていって、
いつの間にか好きになってました・・・な感じだよね。パターン的に。

でも目に見えてドキドキとかはしなさそうなんだよなあ。
地味に動悸が激しくなったりしそうだけど。
なんだろう、ドッキドッキはしない。心に波が立つ。ザワワ~・・・って。
そんなイメージ^^
その心の波紋が徐々にデカくなるんだ。そうだきっとそうだ!(笑)


幸村は結構直感で好きになるタイプだよね。
まず全体的に直感で「好き」「嫌い」の2つに分けてから更に細分化していくイメージがある。
って、大体みんなこれ一緒か(笑)
でもその気になれば、愛がなくてもセックスとか普通にできそうなタイプだよね・・・とか思ってしまったり(笑)
幸村は凄く現実的だよね。ある意味で伊織と透の思考に1番近いかも。
だから話しやすいし、踏み込まれ易いんじゃないかなあ。要注意ですね。


全然関係ないけど、結構一目で惚れたりしたら可愛いと思うのが日吉だったりするんだけど^^^^
好きな子ほどイジメちゃうタイプな日吉が可愛い。
透と日吉可愛い。ハアハア。

先輩にはそれなりに礼儀正しそうだけど、でも他校でライバル校のマネージャーで・・・
ってなるとそれなりに皮肉な事言いそう^^

(透さんだ・・・やば・・・めっちゃ可愛い・・・)
「また偵察に来たんですか笹本さん(おいおいおいおいそうじゃないだろ俺ぇ!!!)」

「て、偵察じゃないよ・・・!この書類を榊監督に渡しに来ただけ」

「ハン・・・どうですかね(何で俺こういう言い方しかできねぇんだよっ!)」

「・・・・・・なんで日吉くん、そういう意地悪言うかなあ・・・」(←本気で悲しそう)

(・・・!やば・・・嫌われた?・・・俺の馬鹿・・・!!何言ってんだよ俺!!!)


みたいな葛藤がポーカーフェイスの裏に隠されてたら凄くいい^^
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