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2009、02、02
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(弦一郎落ちを想定。あ、でもこの内容は柳でもイケそう)



伊織と2人でお買い物。お互い彼氏がいるけれど、やっぱり買い物は女友達同士にかぎる。
なんていっても気を使わないし、女同士の会話が出来る。

喫茶店でお茶をしているとき、ふと伊織が黙った。

(…どうしたんだろ)




左手の




「ねえ、透」
「ん?何?」

黙っていた伊織が、ふと口を開いた。
まだ何かいぶかしむような顔をしている。どうしたというのだろう。

「何?どうしたのさ。何かあるなら言ってよ。気になるじゃん」
「いやさぁ・・・。透って、指輪してないよなぁ・・・って思って」

伊織はフォークでチーズタルトをつつきながら私の手をしげしげと眺める。
つられて私も両の手を前にかざし、自分でもしげしげと眺めて見た。


「うん。してないね。部活とかあるし、邪魔じゃん。マニキュアも塗ってないよ」
「いや、私もマニキュアは塗ってないけどさ。すぐ剥げるし。・・・ってそうじゃなくて!」

伊織は左手を指差して言う。

「指輪の話!・・・透は弦一郎から指輪とか貰ってないの?」


伊織の左手の薬指には可愛らしいシンプルな指輪がキラキラと輝いていた。
要するに、彼氏がいることの証。
伊織も部活のときはつけてないけれど、こうして出かけるときなんかはよくつけている。


「貰って・・・ないねえ」
「あ、やっぱりそうなんだ?」
「うん。まあ、ちょっとは欲しいかな・・・とか思ったりするけどね」

そう言って冷めかけの紅茶をすする。
言われてみれば、そうだな。最近はけっこう恋人同士でお揃いの指輪してたりとかするもんね。

彼氏彼女の証。っていうのか。
まあそういうのに憧れないわけでもない。・・・でも・・・・・・

「・・・弦一郎だし」
「ん、まあ・・・弦一郎だしね・・・」
「弦一郎はそういうのは、本当にここぞ。という時しかくれないと思うなあ・・・」
「プロポーズのときとか?」
「ちょ!気が早いよ!」

飲んでた紅茶を噴出しそうになった。
プ、プロポーズとか・・・!!有り得ない話じゃあないけど・・・け、結婚はまだ考えたことないぞ・・・?

「だって、ここぞ。ってもうプロポーズくらいしかないじゃん」
「まあ、そうなんだけどさ・・・」

それを考えると、指輪をはめた左手を見られるのはかなり後ということになる。


「まあ、でも分かる気がするよ。弦一郎ってそういう感じだよね」
「うん。物で縛ることをしないっていうか・・・。アピールしないっていうか・・・」
「束縛しないよね」
「うん。・・・でもそれはそれで・・・」
「ちょっと寂しいんでしょ」
「うん・・・。ちょっと、ね」






「・・・って話を伊織としたのね」
「・・・その話を俺に言うのか?」

眉間に皺を寄せた弦一郎が言葉を返す。
だって、なんか言いたかったんだもの。

「要するに、お前は指輪が欲しいということか?」
「・・・うーん・・・そういうわけじゃないんだけど・・・なんていうのかな・・・」


うん。指輪が欲しいってわけじゃないんだ。
ただ、何ていうの?近況報告?
指輪をくれるとかそういう選択肢は弦一郎くんの脳内にあるのかなー。っていう、そういう確認?


「ほら、指輪って・・・なんか『特別』って感じがするじゃない」
「ふむ、そうか・・・」


そう言ったまま弦一郎は黙ってしまった。
困らせるような事言ってすまない弦一郎よ・・・。

でも、私も一応『乙女』ってことで(そこ年増とか言わない)、そういうのに興味あるっていうか、やっぱり憧れるってもので。
はからずも、伊織の指に輝く物に「いいなぁ」って思っちゃったんだよね。

弦一郎が熟考モードに入ってしまったので、私はおもむろに机の上にあった和菓子の包みに手を伸ばす。
一つ一つ、細いリボンがついている可愛らしい包みだ。
スルリとそのリボンを引けば、中からは美味しそうな栗入りのお菓子が顔を覗かせる。

そしてふと、弦一郎は何を思ったのか、急にそのリボンを手にとった。

「透」
「ん?」
「左手の甲を出してみろ」
「え?何で?」
「いいから」

言われるがままに、左手を差し出す。
すると弦一郎は、私の薬指にそのリボンを巻きつけて、キュっと結んだ。

「指輪の代わり、にしては少しばかり味気ないが・・・」

半分バツが悪そうな顔をした弦一郎が言葉を濁した。



「・・・・・・・・・」
「・・・透?」


私が左手を見つめたまま無言なので、不安と疑問が交じり合った視線を送られる。



うん、だって・・・お菓子の包みのリボンだし。


即席の、思いつきだし。


でも・・・


だけど、だけどね。

何でかな。
すっごーく、嬉しかったの。
何でか感動しちゃって、言葉が出なかったんだ。


「なに、これ」
「・・・すまん」
「なにこれ・・・。ふふ・・・ふふふ・・・あははは・・・ふふふ・・・」
「・・・そ、そんなに笑うことなかろう!?」

思わず笑い声を出したら、照れたような少し拗ねたような弦一郎の声が聞こえた。

「ふふ・・・だって、だって・・・何か嬉しくて・・・」

私のその言葉に、少し面食らったような弦一郎の顔。
だって、本当に嬉しかったんだよ?


「可愛い・・・。ありがとう弦一郎」

自然と頬が緩む。
なんか、胸がジーンってなった。
ただのリボンなのにね。


「・・・外すのもったいないなー・・・」

左手をずっと眺めていたら、逆に弦一郎に苦笑いされた。


「これ、このまま固めておけないかなあ?」
「・・・安上がりだな、透は・・・」
「む。それは聞き捨てなりませんね」


たしかにそうかも。私って安上がりな女だなあ。
こんなことで嬉しくなってしまうんだもの。
ずっとずっとつけていたいなあ・・・。

「透、その・・・本物の指輪は・・・」
「いいよ。謝らないで?・・・これで十分嬉しいから」
「そ、そうか?」
「うん!凄く嬉しい。大切にするね!ふふ・・・帰ったら伊織に自慢しようっと」


そう言って笑うと、やっぱり困ったような微妙な顔で返された。





後日。
私の左手には、リボンじゃなくて、正真正銘、本物の指輪がはまることになりました。




【終】


\(^0^)/
なんか、ちょっと若い感じで書けて満足wwwwwww
これ蓮二でも絶対可愛いと思うんだよね。しかしあえての弦一郎。
弦一郎は、普通にまだまだこれからが恋人同士本番だよ。みたいなほのぼの付き合いだよなあ。
ゆっくりゆっくりお付き合いが進むイメージです。
書いてて、なんか「可愛いなこいつら・・・ちくしょう!!可愛い!!応援したい!」ってなった(笑)
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